ハーモニックマイナースケールは、ナチュラルマイナースケールの第7音(m7th)を半音シャープさせたスケールです。代表的な3つのマイナーモードスケールの一つで、日本語で和声的短音階・和声短音階などと呼ばれます。
ナチュラルマイナースケール(自然的短音階)が、ルートに対する導音(リーディングノート)を持たないため第7音を半音あげて導音にしたものがこのハーモニックマイナースケール(和声的短音階)です。
構成音の音程はルートから見て
【全 半 全 全 半 全半 半 】の音程になります。
ハーモニックマイナーは、クラッシック的な響きや、中近東的な響きも感じられるサウンドが特徴です。
第6音である短6度(m6th)が5度と半音でぶつかるため、アボイドノート(アヴォイドノートとなります)
ハーモニックマイナースケールの特徴となる音は導音でもある長7度(M7th)と、アボイドノートでもあるm6からの全半音(1音半)の不自然な音程です。
Aハーモニックマイナースケールの音程を五線譜で表すと以下のようになります。
Aハーモニックマイナースケール ― ―●― #● ┌――――――――――――――――●―――――――┬┐ ● ├――――――――――●―――――――――――――┼┤ ● ├――――●―――――――――――――――――――┼┤ ● ├――――――――――――――――――――――――┼┤ └――――――――――――――――――――――――┴┘ ラ シ ド レ ミ ファ ソ# ラ R 9 m3 4 5 m6 M7 R └ 全 ┴ 半 ┴ 全 ┴ 全 ┴ 半 ┴全半┴ 半 ┘
ハーモニックマイナースケールはダイアトニックスケールではありませんので、ハーモニックマイナーモードから作られるコードに対して使用します。
ダイアトニックモード上ではTm(Ym)トライアド一発の上に使用できます。
コードスケールとしては、TmM7(マイナーメジャーセブンス)に対するスケールとなるのでTm7一発に対しては使用しないほうが無難です(M7がm7とぶつかるため)が、トライアドならば問題なく使用可能です。
また、マイナーコードに対するU―X―T(ツーファイブ)のTm(TmM7)にも使用できます。
実はX7―Tm7をX7からハーモニックマイナーで弾くことが出来るのですが、理論的には、X7に対しては、ハーモニックマイナーパーフェクトフィフスビロウ(HMP5↓)という長ったらしい名前のスケール(ハーモニックマイナーの5度をルートとした全く同じ構成音のスケール)を弾いていることになりますので、ハーモニックマイナーはTmに対して使用できるスケールと覚えておいてください。
V7―Ym7(X7―Tm7)というコード進行があったら、最もコードに対してはまるのがこのハーモニックマイナースケールです。
Am一発やAm―E7のループ、Am―Fdim―G#dim等をハーモニックマイナー一発で弾きまくるのが、イングウェイやレーサーXのポールギルバート、トニーマカパイン、ヴィニームーア、クリスインぺリテリなどのネオクラシカル系ギタリストです。
ジャコパストリアスを初めとしたジャズギタリストや、ブライアンセッツァー等は、U―X―Tで、速弾きフレーズではなく、もっとメロディアスでビバップ的なハーモニックマイナーを弾いていますので参考にしましょう。